璃乃の諭告

rino’s diary

トランプ政権の誕生をきっかけに表面化しただけともいえる。

璃乃です、独は貿易、仏は温暖化対策、伊は難民支援。
EUの主要3カ国と米国との亀裂が明白となった。
それを踏まえた発言は、決して腹立ち紛れの失言ではない。
メルケル氏の狙いは3つあった。
第1は対米けん制。安全保障では米軍に代わる欧州軍の構想もあるが、今は米国と決別するというより振り回されたくないのが本音。
米国離れを口にし、トランプ政権にブレーキを掛ける思惑が透け る。
第2は欧州の結束の引き締めだ。
米国が頼りにならない不安定な時代をあえて強調すれば、欧州内で協力を深めるしかない。
メルケル氏は周辺国が米国よりもドイツにくみすることを計算に入れたのだろう。
第3が国内の選挙対策だ。
メルケル発言が出たのは、9月の連邦議会選に向けた与党の会合の場だった。
演説はこう続いた。
欧州の未来のために戦わないといけない。
私は皆さんとともに歩みます。
自身の外交こそが欧州の安定につながると訴え、下院選を乗り切る胸算用だ。
ライバル政党もトランプ氏はドイツの政敵と批判したが、メルケル発言の陰に隠れてしまった。
メルケル発言は米国側には劇的な変化と映る。
だが欧州は対米依存をどう脱するかとの問いに向き 合ってきたのが、戦後のドイツ外交だ。
1960年代、独政界は対米同盟を重んじる大西洋派と、仏との連携を探るド・ゴール派に割れた。
伝統的に自主独立を探るフランスほどでないにせよ、冷戦期ですら対米追従を嫌ったドイツ。
米国が主導した2003年のイラクは仏と並んで反対した。
いまは対米外交と比べものにならぬほど、対仏協調が重要。
今回の騒ぎは、欧州統合と共に静かに進んできた脱米国の流れが、トランプ政権の誕生をきっかけに表面化しただけともいえる。