璃乃の諭告

rino’s diary

鉱山関連企業向けの物流サービスが主力だ。

自動車排ガス計測機器で世界最大手の堀場製作所は05年に独カール・シェンクから自動車の性能試験装置事業を買収した。
買収で得た燃費や耐久性の評価装置などと自社の排ガス計測機器を組み合わせ、自 動車メーカーに開発の早い段階から包括的なシステムとして提案することで売り上げを伸ばした。
これは製品・サービス領域の補完だ。
自動車用ホース大手のニチリンは13年、仏ハッチンソンのブレーキホース事業に出資した。
同社が欧米の自動車メーカーを主な顧客とする一方、ニチリンは日本勢との取引が中心で、欧州に開発・生産拠点はなかった。
買収後、米ゼネラル・モーターズから納入の打診があり、ニチリンは買収した欧州の拠点と、自社のアジア・米国の工場を組み合わせたグローバル供給を提案して大型受注につなげた。
事業地域の補完に顧客が価値を認めたといえる。
この補完型を重複型と比べると、重複型がリストラクチャリングで短期に自力で固定費を削減できるのに対し、 補完型は買収による新たな製品やサービスの組み合わせを顧客が評価するまで相乗効果は実現しない。
一方、重複型の相乗効果は買収後、寡占に近づかないと長期の成長を支える効果はないが、補完型は顧客がいったん価値を認めれば持続的な成長をもたらす。
多額の損失を計上した最近の海外M&Aを改めて吟味すると、どれも水平統合型でありながら、相乗効果の源泉となる重複は見当たらない。
日本郵政は国内の郵便や宅配便事業が中心で、買収相手の豪物流大手のトール・ホールディングスは現地の売上高が7割で、鉱山関連企業向けの物流サービスが主力だ。